公式:メタルマックス3
こんばんは、玲印どりるです。今回はメタルマックス3を無事にクリアできましたので、そのレビューを行いたいと思います。
メタルマックスシリーズは「戦車と人間のRPG」としてファミコンに初登場して以来、男の子の戦車心(クルマゴコロ)をがっちり掴んだ作品です。
製作元や発売元が経営難に陥ってしまい新作が発売中止、携帯機でのリメイクがバグだらけ、その後も商標を失うなどの問題がおこり不遇のシリーズとなっていましたが、このたび満を持して正式な続編であるメタルマックス3が登場しました。
元祖製作陣をそろえるなどの気合の入れようですが、果たして内容はメタルマックスの名前にふさわしいものだったでしょうか? そして何より、プレイしていて面白かったでしょうか?
それを語ってみたいと思います。
とりあえず結論を先に書いておきます。
メタルマックス3はめちゃめちゃメタルマックスです。
そしてとても楽しめたのでした。なので迷ってる人は買ってくださいね!
■メタルマックスらしさとは
シリーズのファンがメタルマックスらしいと感じる要素を少し分解すると、荒廃した世界で戦車を乗り回す楽しさ、個性的な賞金首を撃破するという目標、テキスト(文章)の独特の味わい、そしてついでにドラム缶が挙げられるかなと思います。
他にももっと色々ありますが今回は割愛させてください。
まずはやはり戦車について。戦車といっても乗り物の総称はクルマ、その中に戦車やバイクがある感じですね。
これがまた正統派なものから奇抜なものまで取り揃えてあり、お気に入りのクルマで荒野を疾走することができます。
クルマの改造についてはベースとなるシャーシを改造することにより段階的に武装用穴を増やしていく形になっています。
またそのシャーシ改造は分岐があり、方向性を選ぶことで大砲の穴ばかり増えるクルマや機銃の穴ばかり増えるクルマなど、よりクルマの個性を際立たせることも可能です。
ただし一度改造先を選んだら二度と戻せないのでよく考えたほうがいいでしょうね。
大砲を2つ載せたり属性の違う機銃をいくつかつけてみたり、S-Eの超火力に頼ってみたり。一度に搭載できる武器が増えることで組み合わせを考えるのがより楽しくなりました。
武器をたくさん搭載すると装甲が薄くなる、かといって少ない武装では厳しい戦いを乗り越えられるかどうか……どのクルマにどの武器を搭載していくか、楽しく頭を悩ませながら遊ぶことができるでしょう。
苦労して手に入れたクルマの、生身とは違う圧倒的な火力と防御力に酔いしれる……。あの気持ちよさがまた味わえたのは嬉しかったです。
さてしかし、クルマを改造するにも武装を手に入れるにも金が必要です。そこで当面の目標となるのが、高額のお金がかかった賞金首たちを狙うこと。
メタルマックスの敵は生物が突然変異したり、機械と融合していたり、戦車やロボットが出てきたりとかなり個性的な連中がそろっていますが、今回もその痛快なデザインは健在です。
その中でもやはり賞金首の独特さは群を抜いているといえるでしょう。
トナカイ戦車や巨大プリン、ダイコンなど、見た目も奇抜なら攻撃も奇抜な連中が勢ぞろい。
クルマを手に入れて俺強い! といきがるプレイヤーを圧倒的な強さで地獄のどん底に叩き落してくれます。というか何度絶望を見たことか。
そんな強敵を、地獄から這い上がりクルマや装備を強化して逆に圧倒してやるときの気持ちよさはたまりません。
手に入った賞金でまたさらにクルマを強化して先へ先へと世界を開拓していく……。メタルマックスの醍醐味ですね。
さて次はテキストについて。ストーリーのよいゲーム、となるといくつでも出てきますが、テキストに味わいのあるゲームとなると、なかなか出てくるものではありません。
私が体験した限りでは、ドラゴンクエストシリーズの完成されたテキスト、マザーシリーズの人間味溢れるテキスト、そしてこのメタルマックスの世紀末感溢れるテキストが3大テキストお気に入りゲームとなっています。ちなみにワースト1は圧倒的差で黄金の太陽シリーズです。
「あんたは強え! 強えヤツは正しい!」「なんだこの死体は! まだ生きとるじゃないか!」「ニンゲンノクズハ、テツノクズヲアツメル」「この人死んでるよ! ま、いーか!」などと退廃した世界に生きる人間らしいセリフが満載の過去のメタルマックスシリーズ。
今回も憎しみ、欲望、絶望、怒り、そしてわずかな希望が感じられるセリフが街のなんでもない一市民からいくつも聞けます。
「男に、悪党も善人もないよ! 服を脱いじまえば、みんな、同じさ」「あそこのテントのジジイは病気なんじゃ。この町を出て行くかさっさと死んでくれんかのう。おお、イヤじゃ、イヤじゃ」「きょうも、いい天気ですなぁ。のどがヒリヒリ焼けるくらいに!」「あけてみなされ! あきそうなものは! 何でもかんでも!」あたりが個人的に好きなセリフですが、きっと皆さんもセリフの端々にメタルマックスを感じ取れることでしょう。
ハイセンスなテキストが出てくる背景には、とにかく人が死ぬというメタルマックスの世界観にまつわる伝統が関係しているのは間違いありません。
そして今回も安心の死亡者数。町人が、名前付キャラクターが、どんどん死んでいきます。
何もしないと死ぬ。
話しかけると死ぬ。
依頼を受けると死ぬ。
痴情のもつれで死ぬ。
目の前で死ぬ。
気づいたら死んでいる。
時はまさに世紀末なのです。
死があまりにも身近だからこそ、生に執着し、あるいはすべてを諦め、もしくは開き直って明るく過ごしており、そこから搾り出されるセリフが輝くのではないかと思います。
ついでにドラム缶についてですが、今回は主人公が最初に名乗る名前が「ドラムカン・ジューロ」「ドラムカン・スミス」「ドラムカン・ジョーンズ」の三択というところからはじまり、通路を塞ぐ壁の代わり、戦車の侵入を防ぐバリケード代わり、アイテムを隠す障害物の代わりとしてあちこちに登場するので思う存分押すことができます。
押してもいいんだぜ! 懐かしいドラム缶をよ!
私も思わず特別限定版のドラム缶セットを購入してしまったのでたまにリアルで押しています。
他にも敵のネーミングセンスや道具の名前など、あらゆるところからメタルマックスを感じ取ることが出来ます。
まさに、メタルマックス、メタルマックス2に続く正統な続編として、メタルマックス3は世に現れたのです。
■あの頃に戻ってもう一度クルマを乗り回そう
最後に、基本的なゲーム内容についてもいくつか触れておきます。
ユーザーインターフェースは現代のゲームとしてはやや悪いですが、全体的なシステム面は向上しています。
人間が武器を3つまで同時に装備できるだとか、各種攻撃属性に対応した属性耐性が設定されているとか、スキルを使用できるといった感じでシンプルながらも過去作より戦闘がさらに面白くなっています。
敵もグネグネ動いてくれるので見た目もよろしいです。戦闘中のゲームスピード設定があるのも嬉しいところ。お勧めはC。
ハンター、ソルジャー、メカニック以外にもレスラー、ナース、アーティストと職業が増え、犬を含めて自由にキャラクターを作って好きなメンバーを連れ歩けるのも好感触です。
気に入った固定メンバーでもいいし、状況に応じて連れ歩くキャラを変えてもよし。
またメインストーリーがあってないようなものすぎて次に何をすればいいのか分からなくなりがちなところがあるこのシリーズですが、クエスト形式の導入によりメイン・サブクエストとして何をしていけばいいのかある程度把握しやすくなったのはありがたいですね。
音楽は過去作のものも結構ありますが、新曲もいい感じです。個人的には「地獄は満員」と「宿敵」が好きかな。
メインストーリーにかかわるキャラクターの造形もとてもよかったと個人的には思います。
この世界はどいつもこいつも自分勝手で、力が正義。
そして人間の力ではどうしようもないことがある。これでこそメタルマックスです。
最近のゲームらしくクリア後の超強力賞金首追加や周回プレイなどもあります。それほど多い追加要素ではありませんが、クリアした後でも楽しめるのはいいですね。
ただやはり敵が多いという設定の場所でのエンカウントの高さや、インターフェースの悪さなど、面倒くささにイライラさせられる点はマイナスです。
この不自由さもメタルマックスらしいですが……。
ゲームに快適さを求めている方はよく吟味してください。
バグもフリーズを含め大小さまざまありますので、気になる方はバグ情報だけ確認しておいたほうがよいでしょうね。
メタルマックスシリーズをやったことの無い方にも、是非クルマを乗り回す楽しさと強敵に出会ってしまったときの絶望感を味わってもらいたいのですが、まずはメタルマックスファンの方には絶対お勧めとさせていただいてレビューを締めくくりたいと思います。
書いた人:メタルマックスシリーズからは鉄と血と油の臭いがすると思う玲印どりる
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